ドラムの発音や弦楽器、電子楽器の発音、
発電による出力音波の位相について
現在の音楽には、ドラムを中心としたバンド形態が非常に多く、弦楽器も電気を使用し大音量で演奏するものが多くあります。大音量となるため音響装置や楽器用のアンプも大出力となっています。このためスピーカーからは大きな音、強い音波が観客席へと届きます。小音量時に比べ大音量になると音波のエネルギーが強いため前記の位相の問題が無視できなくなる位、影響を与えてきます。
◎ドラムの位相
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バスドラムの音を出す場合、ペダルを踏む事によりビーターがドラムヘッドに当たり発音します。発音周波数はドラムヘッドの口径や張りの強さ胴の口径などで変化します。
発音時、最初にビーターが当たった面がヘッドに当たり、ヘッドは進行方向へと押されます。
次に元へ戻ろうとする反発力で最初に制止していた位置を越えて逆方向へと進み限界点に達した後、再度元の静止状態に戻る方向へ進みます。このような状態をくりかえしやがて元の静止状態になります。 |
この短時間で何度ビーターによって加えられた進行方向、及び逆方向へ振動するかにより ドラムの発音周波数が決定されます。またドラムの音色や音量等は加える力と共鳴する胴などにより変化いたします。
ヘッドが振動する際静止していた空気はヘッドが押しだされる進行方向に向かって圧縮されるように進み、 ヘッドが逆方向に戻る時は逆方向の空気が同様になります。この繰り返し発生する空気の振動が、人の耳に感知され鼓膜が同じ周波数で振動し脳が音波として認知することになります。
◎バスドラとベースの位相が違う場合
全ての音波がある時点で同じ方向へ到達すれば問題ありませんが、前に進む波と後ろへ進む波が混在した場合結果的にある音が小さくなります。特に低音楽器のベースとバスドラムの間では顕著にあらわれます。
バスドラムは通常は正位相のため逆になるのはベースとなります。よく聞くとわかりますが一拍目にバスドラムの音とベースが同じタイミングで発音した場合位相が違うと小さくなります。二拍目にドラムがスネアーを発音しベースも発音した場合双方が逆のため大きな音として聞こえます。
ベースの音が大きくなります。このため、通しで聴いていくと、ビート感が本来と逆になっているようにまた、一拍目のインパクトが必要な部分の空気が吸い込まれるような聞こえかたとなります。
このような状態になるとベースプレイヤーの耳には自分の音がモニターしにくくなり、一拍目が小さいと感じるため結果的にアンプのボリウムで調整しバランスを取ることになります。
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◎逆位相による悪影響
バンドにおいてはギターやベース、キーボードなど多くのパートがあり相互で影響しながらアンサンブルを維持しますがこのような中で位相が逆になったことが原因で
さまざまな悪影響を及ぼしています。ただこの逆相が好結果を生む場合もありますが殆どが悪影響だと認識しています。 |
悪影響はステージサイドでは
●ころがし等のモニターが聞こえづらい
●自分のアンプよりの音が聞こえずらい
●ビート感がちがう ●グルーブ感がどうしてもでにくい
●低音が締まらない ●低音の音程がはっきりしない
●コンプを使用していないのにコンプ感がある
●ドラムの音が聞き取りにくい
等、多岐に渡ります。
客席側でも
●まとまり感がない ●低音の音程がしっかりしない
●ギターが奥にひっこんだ感じで前にでない
●全体的に音が大きく演奏が把握しにくい
●シンバル系の音に変な変調がかかる
●ビートがつかみにくく体でリズムが取りにくい。
●楽器の頭の音が遅れて聞こえたり、小さくなって聞こえる
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